平方完成のストーリー 2015/02/13_18:19
Posted on February 13th, 2015
平方完成 - 2015/02/07 21:08
- 平方完成考えたやつって、頭ええよなぁ。
- 平方完成って、
っていう風に、二次式を平方の形に式変形するやつだよね。
- 確かに、これを考えた人って、きっとすんごい頭良かったんだろうなぁって思うね。
- 平方完成って、
- やろ?こんな式変形、自分で思いつかへんわ。
- 自分で思いつかなくても、ある意味それは仕方ないことなんじゃないかなぁ。だって僕たちが今学んでいる数学っていうのは、何百年もかけて発展してきたことをほんのごく短い期間の間に習ってるんだから。
- そ うか、習ってると、「そんなん思いつかんわ!」っていうようなことばっかりに感じるけど、確かにそれって当然なんかもな。昔のかっしこい人が、あーでもな いこーでもないって考えながら発展させてきたやつなわけなんやから。じゃあ、思いつかんくてもしゃーないしゃーない。覚えたらええんか。でも、おれ覚える のん、むちゃ苦手やねん。
- 覚えてしまえば、暗記してしまえばいいってのは、一つの方法としてはありかもしれない。でもそれじゃあ数学の楽しさを感じにくくなっちゃうよね。自分で考えつかないことは、ことごとく覚えていくってなったら、結局ぜーんぶ覚えないといけないことになりかねないじゃん。
- 自 分で考え付くのは、確かにかなり難しい。でも、はじめに考えついた人が、どういう意図も持って式変形していったのか、なぜ考え付いたのかってのを、推測し てみるって事は出来ると思う。その推測が、あっているにしろ、間違っているにしろ、自分の頭で考えながら、先人の道筋を辿ろうとすることは、覚えるだけよ りも得るものは格段に多いんじゃないかな。
- 「なんで考え付いたんか?」を推測できるってほんまか?平方完成も、なんでそう式変形しようと思った推測できるもんなんか?
- うん。ぼくなりにだけど、なぜ平方完成っていう式の変形の仕方を考え付いたのか。どんな意図で、そのように式変形をしてみようと思いついたのか、説明することはできるよ。あくまでも、ぼくの推測になっちゃうけど。
- ほんまかいな!?それ、なんかおもろそうやな!じゃあ、なんで平方完成っていう式変形は生まれたん?
- そうだなぁ。。。どんなときに、平方完成する?
- えー、二次関数の頂点求める時やな。
- 他には?
- 他には?んー、二次方程式の解の公式の証明にも出てきたんとちゃうかな。
- うん、その二つがぼくもすぐに考えつく。で、はじめはたぶん二次方程式の解を求めようとしたときに、平方完成ってのは生まれたんだと思うんだ。
- 解の公式の証明は、係数を一般的な文字で表して、平方完成を使って解を求めていけばいい。公式ができたのは、まず二次方程式が解けるようになってからだろうから、ぼくたちは、係数の値として、具体的なものについて考えていってみよう。
- 例 えば、
っていう二次方程式があるとする。これを、「はじめて解くことができた人は、どんなことを考えたんだろう?」「何に注目して、式を扱っていったんだろ う?」と想像するんだ。
- 想像する言われても。。。解の公式使えば解けるけども、それはまだ生み出されてへんってことやんな?
- そうそう。
- うーん。。。
- 今考えてるのは二次方程式なんだけど、もっと簡単に解を求めることができる方程式ってどんなのがある?"二次"は難しい。けども、もっと簡単な。。。
- あー、 一次方程式やったら、簡単や。
とかは、計算して、移行して、
が答え。
- おー! そうそう!丁寧に式変形を追えば、
だよね。じゃあ、はじめの式変形は、どんなことを考えながらした?
- おー! そうそう!丁寧に式変形を追えば、
は計算して
にできるなぁ思うて。
- うん、そこ。
どうしは計算することができるから、計算してしまう。
- うん、そこ。
- うん。
- じゃあ、
、、、これなら、どうする?
- じゃあ、
- そんなん簡単やん。
やろ?
- そ うそう。
ってはじめの二項だけ計算しておしまい、にはしないだろ?一つになるまで式変形できるなら、式変形してしまう。つまり、文字は散らばっているなら、計算し て一つにまとめたいんだよ。そのほうが、式として整理されているし、一つにすることで、「
」の形にまでもっていくことができて、解が求まる。
- 文字式ってのは、同じ文字が散らばっているなら、計算できるなら計算してしまって、一つにまとめたいなぁって思う。それはとても自然なこと。そうすることで、解が求められるから。
- そ うそう。
- ふんふん。確かに同じ文字は計算してもうて、一つにしてまうな。そうか、同じ文字は、散らばってるなら一つにしたい。やから、計算して整理してまうんか。
- ここで、具体的に考えてる二次方程式を眺めてみよう。
をぼくたちは解きたいんだったよね?
- ここで、具体的に考えてる二次方程式を眺めてみよう。
- 文 字
は、二箇所にあるな。
と
と。これを、もし一箇所にまとめることができれば、嬉しいわけやな。
- " 嬉しい"って表現いいね。そう、嬉しいんだ。なんせ、そうできれば、解が求められそうだから。
という二箇所にある
を、一つにしてしまいたい。そう考えながら、じぃーっと式を眺め、あれこれ変形してみる。
- ただ、この手がかりだけでは、なかなか平方完成には結びついていかないと思う。ちょっと視点を変えながら、もう少し考えてみよう。
は、二次方程式だよね?この方程式を解きたい。解きたいんだけど、いきなりこれをスラスラと解くことはできない。そこで、どうしよう、となる。でもこれ が、さっきも確認したように、
っていう一次方程式なら解ける。解ける形から、今の解けない形をどう扱っていけばいいかってのを考えてみて、「散らばっている文字をまとめたい」ってのが 出てきた。だからさらに、解ける形を考えていってみよう。
- じゃあ、二次方程式で、解ける形ってないかな?
- " 嬉しい"って表現いいね。そう、嬉しいんだ。なんせ、そうできれば、解が求められそうだから。
- 二次方程式で解ける形。。。
- きっと頭のどこかにはあると思うんだ、簡単に解ける二次方程式が。今はまだそこと結びついてないから、出てこないだけで。
- もう少し考える材料を。散らばってる文字を一つにできたら、「
」の形に持っていけそうなんだよね?
- でも、一つに計算してしまえるのん、一次方程式のときやろ?二次方程式で散らばってるのんを一つにできへんから、今困ってるんやん。
- 散らばってる、文字が二箇所にある二次方程式が嫌なら、一箇所にしかない式を考えてみるってのは?
- は じめから、一箇所にしか文字
がない二次方程式。。。あ!
とかって二次方程式やんな?これやったら、
っていう風に、解くことができるわ!
- そ うそうそうそう!
っていう風に、最初から
が散らばっていない、一次の係数が0のときは、解けちゃうだろ?ほら、解ける二次方程式をみつけることができた。
- そ うそうそうそう!
- ほんまや。見つけれたわ。
- じゃ あ、今の解けないやつを、解ける形に変形したいなぁって思うよね。どうにか、
っていう形に変形できないかな、[二乗]=[値]って形にしたいな、って。これで、手がかりが2つになった。
- じゃ あ、今の解けないやつを、解ける形に変形したいなぁって思うよね。どうにか、
の散らばってる
を一つにしたい。
って形に持っていきたい。
の散らばってる
を一つにしたい。
って形に持っていきたい。。。やから、二乗の展開公式が浮かんでくるわけか!
- そ う!二乗の展開公式は、
。右辺を見てみると、今変形したい
っていうのに似た形がある。左辺は、右辺では散らばっている
が、一つにまとまってるよね。どうやらこれは、使えそうだな、と。
- 具体的に、
の部分を変形してみよう。この形は、
を展開すると出てくる。
- 4だけを左辺に移行すると、
- 右辺の式は、左辺の式へと変形することができる。これを利用して、もとの
を変形していく。
- ここから、
となるので、解は
。求めることができた。
- そ う!二乗の展開公式は、
- 二 乗の形にもっていきたいことと、
という形で散らばっている
を一つにまとめたいこと。この2つの手がかりから、二乗の展開公式
を利用するってところに行き着いたってわけか。んで、"平方完成"は生まれた。
- あ くまでもぼくの推測だけどね。でもこんな風に、手がかりを探して、それをもとにどう考え、生まれたのか推測するの、楽しいだろ?だからぼくは、公式とかが 出てきたら、「どんなことを考えたのか?」「どういった目的で、式を扱っていったのか?」ってのを自分なりに考えるようにしてる。そうすると、ただ公式を 覚えるよりも、得るものが、何倍にもなるんじゃないかと思うんだ。そして、覚えるだけよりも、何十倍も楽しい。
- おれも「こんなん思いつかんわぁ」て投げ出さず、ちょっと考えてみるようにしてみよかな。昔のえっらい人は、なんでこういう風にしようと思ったんやろう?って。